ISOでプラス50点 【建設業の格付け】
・ ISOで50点プラス! 【建設業の格付け】
鹿児島県の建設工事入札参加資格の格付けは、以下の計算で評価されます。
①経営事項評価点数 + ②技術事項等評価点数 = 総合点数
①の経営事項評価点については、国土交通省が、経営事項審査(以下“経審”とする)の新基準を2011年4月1日より施行し、その中で社会性等(W点)の評価項目の追加がなされ、ISO 9001とISO 14001の取得状況が加点の対象となりました。加点の内容は、ISO 9001(品質マネジメントシステム)認証取得で5点プラス、ISO 14001(環境マネジメントシステム)認証取得で5点プラス、合計で10点加算されることになります。
②の技術事項等評価点については、ISO 9001の取得で20点、ISO 14001の取得で20点、それぞれ加点(両方取得の場合合計40点が加点)されます。
つまり、ISO 9001(品質)と14001(環境)の両方を取得していれば、結果的に50点のプラスになるということです。
50点は意外と大きな点数と言えます。例えば、②の技術事項等評価点で総合点数を上げる場合を考えてみると、1級の資格保持者1名につき4点プラス(最高80点まで)、CPDSのユニット獲得20単位ごとに1点プラス(最高10点まで)、ボランティア活動年間7回以上で6点プラス、などとなっており、50点上げるには1級の資格者10人以上が必要となるのです。
建設業の方は(特に格付けを気にしておられる業者の方は)、積極的にISOに取組むインセンティブがあるということになります。
ただし、この加点にはいくつか注意すべきことがあります。①の経営事項評価点の加点には下記三つの条件があるのです。
A. JAB認定の(又はJABと相互認定している)審査機関の審査を受けていること。
B. 登録範囲建設業が含まれていること。
C. 全社登録であること。
おそらく、C.の条件(つまりISOの“全社登録”)が問題になるケースがかなりあるのではないかと思います。
例えば、「沖縄支店だけは登録範囲から除いている」、「産廃施設や生コンのプラントなどが同じ会社の中に存在するがISOの登録範囲から外している」、「車両部、機材部、総務営業部など、一部の部署をISO対象外としている」、などの場合です。
では、国土交通省は“全社登録”という単語をどう解釈しているのでしょうか? それ次第で、今後の組織の対応も変えざるを得ません。おそらく、上記のような一部門をISOの登録範囲から除いている組織は、全社登録への変更を余儀なくされる可能性があります。そこで、国土交通省に電話して、“全社登録”の意味を聞いてみました。
その結論を述べましょう。ポイントは『施工をしている部門を全て登録しているか否か』だそうです。つまり、総務部を除く、車両部を外す、などはあまり問題がないということです。しかし、沖縄支店と福岡営業所をISOの登録範囲に入れていない、などの場合は、沖縄や福岡で仕事を取って施工を始めた瞬間に『全社登録』の条件に引っかかることになります。支店や営業所を(ISOの適用範囲から)外している組織の方は、登録範囲の拡大を考えておいたほうが無難です。例え5年に1度でも、営業所や支店で獲得した仕事の施工を行うと、経審の点数がもらえなくなる可能性があります。当然ながら、土木だけで登録していて、たまに行う建築はISOの範囲から外している、などという企業も問題になります。あるいは、(現在では少なくなってきましたが)『ISOの適用を公共工事だけに限定していて民間工事には適用していない 』などという場合も好ましくありません。
建設業の方々は、ご自分の会社のISOが“全社登録”に該当するかどうか再度検討しておくほうが無難です。
以上