TPPで国際規格(ISO)が更に重要に
TPPについては賛否両論ありますが、長い目で見れば“自由化”に向かうことは間違いないでしょう。農業や医療の問題が注目されていますが、それ以外に“人の移動の自由化”も発生します。
つまり、安い食品や農産物が輸入される、自由診療の幅が広がる、ということ以外にも、安い労働力が流入する、公共事業に海外からの参入が認められる、などということも考えておかねばならないということです。建設業やサービス業の方にとっても、意外と影響が大きい可能性もあります。
少子高齢化の我が国は、否応なしに労働力不足(特に若年層不足)の未来へと突き進むことになります。当然ながら海外からの労働力流入は増えざるを得ないでしょう。放っておいても(厳密なルールがなくても)ある程度仕事をしてくれるのが日本人ですが、国際化した社会ではしっかりとした社内基準(マニュアル等のルール)がないと組織は機能しません。おまけに、標準や基準を持たない企業は取引上の信頼もなくなります。何らかの標準(できればISOのような国際基準)をクリアしていることは当然の社会的要求となるでしょう。
TPPなど貿易の自由化は、安い製品を輸出できる、高品質をアピールできる、日本製品(あるいは食品)の安全性が再確認されるチャンスでもあります。マイナス思考で臨むよりも、チャレンジ精神で新しい道を開拓すべきでしょう。
一歩踏み出してしまえば、自然と、①高品質・高性能で十分戦えるもの、②手法を変えて戦うべきもの(例えば農業の大規模化)、③太刀打ちできないので保護すべきもの、などに分かれていくはずです。
いずれにしろ、これからはグローバル化・ボーダレス化の時代です。日本が国際舞台で戦うには、まずは高性能で安全な品物を提供し、他国ができないレベルの丁寧なサービスや効率的なシステムを作り上げていくしかありません。
守る(安い輸入品と戦う)にも、攻める(高品質なものを外に売る)にも、国際標準をクリアしていることが必須の世の中になることは間違いありません。特に、ISO9001(品質)、ISO 14001(環境)、OHSAS 18001(労働安全)、ISO 22000(食品安全)、ISO 27001(情報セキュリティ)などが最注目されることになるでしょう。
好むと好まざるとにかかわらず、ISO(あるいはそれに類する規格)のシステム作りは2010年代の企業にとって必要になってくると思われます。事実、イオン、コカコーラ、パナソニック、京セラなどの有名企業は何らかの国際規格(又はそれに準ずる規格)を取得していない企業との取引を控える傾向にあります。TPPの交渉が進めば、企業間だけでなく国家単位で“国際的な標準をクリアしていること”を求められることになるでしょう。外圧で仕方なく動き出すという状況になる前に、少しずつ準備をしておくことが望ましいと考えます。
そもそも“社内のルール作り”は、TPPなどと関係なく推進しておかなければならない企業存続の最低条件と言えます。経営者の思いを反映させて永続的に会社を運営していくために、ISOなどのシステムを利用することはごく自然なことです。
この先10年、国際化・自由化の波は止められないでしょう。多少面倒でも様々な社会の要請に応える会社が生き残ることは間違いありません。
準備はできていますか???
以上